江戸期から昭和初期にかけて、亀文堂と並び京鉄瓶の双璧として最高峰の評価を得た名門「金龍堂」。その洗練された美意識を現代に伝える至高の復刻品、金龍堂写 鉄瓶「富士形田舎山水」が、高岡の名工「正晴堂」の蝋型(ろうがた)鋳造技術によって鮮やかに蘇りました。最大の特徴は、日本人の心の拠り所であり、末広がりの気品を湛える「富士形」の端正なシルエットにあります。一つとして同じものが作れない蝋型鋳造だからこそ実現した、豊かな鉄肌の凹凸が重厚な陰影を生み出しています。
本作の気高さを決定づけるのは、静穏な山水風景の中に宿る精緻な装飾美です。胴回りに描かれた素朴なくず屋(茅葺き屋根の民家)には、伝統工芸士・浦島紫星の手により、細密な「金銀布目(ぬのめ)象嵌」が贅沢に施されています。さらに、夜空を想起させる静寂な漆黒の鉄肌に、優美な「銀象嵌」の月と鳥たちが繊細な輝きを放ち、まるで一幅の絵画を眺めているかのような詩情豊かな情景を浮かび上がらせます。
さらに注目すべきは、鉄瓶の格を左右する「弦(つる)」の意匠です。気品ある銅製の弦には、古来より不老長寿の象徴として尊ばれてきた吉祥文様「霊芝(れいし)紋」が美しく刻み込まれており、銀象嵌が施された銅蓋の摘みとともに、格別の風格を醸し出しています。1.6Lという日常で最も使い勝手の良いサイズ感でありながら、五感を満たす美術品としての価値を両立した逸品。日々お湯を沸かすたびに鉄瓶は深く育ち、お湯は角が取れて驚くほどまろやかに変化します。暮らしを豊かに彩り、次世代へと受け継ぐにふさわしい至高の工芸美をお愉しみください。
※本製品は熟練の職人による手作りのため、商品ごとに若干の個体差がございます。伝統工芸品ならではの味わいとしてお楽しみください。